はじめて頼ろうかと思えた人。
思っていたよりもずっと美しい人だった。
確かに狂気的ではあったが。
「私の良人となる人は
この恐ろしい世界を生きぬける恐ろしい人がよい。
…何を怖がることがあろうか。
この戦国の世に生まれ合わせたこと自体すでに怖いことなのに」
「姉上様…」
妹は心配してくれていたが。
私の決心は前に言って聞かせたとおり。
「それでも私は優しい人が良い」と妹は言っていたが…
心根の優しい人が、この世界で生き残れるものかと思ってしま
う。
だから私にはあの残虐非道と噂の尽きぬあの方で良いのだ。
この婚約話が来たときそう感じた。
喜びと殆ど変わらない高鳴りも…。
後は婚儀を待つだけとなった。
それなのに…
「父上が申し上げた通りです。
私のからだはもう、この通り…何故…わかったのですか」
代わりに妹を送り込んだはずなのに。
見破られてしまったと聞いた。
「貴女は私を見ても恐れを抱かないようですからね…貴女だけ
は。
(恐れもせず自分を見つめる女…自分に会っても、
その正
体を
知っても眼に恐怖や嫌悪を宿らせない女は二人目だ
…あの魔王
の妻は別格かと思っていたが別格な女がまだいるとは)
その恐
れを映さない眼が私を引き付けるのですよ」
あぁそうか。
あの子は、私と違って怖がるのがわかりやすいから…
バレてしまったのか。
「…少し、勘違いをしていらっしゃいませぬか。
私は恐れがないわけではありません。
私にとってはこの世界そのものが恐ろしい…
狂気を含んでいるのです。」
戦う者や天下を統一しようという者も、貴方様も、
このアザだ
らけの身となってしまった私も、
そうさせた神々も恐ろしいか
ら。
「だから、せめて私の頼る方は…
この恐ろしい世界で生き抜くことが出来そうな、恐ろしい方…
…そう決めていただけのことです。」
「面白いことを言う女ですねぇ…
そんなことを言うと
私は貴女の期待を裏切るかも知れないですよ?」
「それでしたら、私の見る眼がなかったという、
それだけのこ
と…文句は言いませぬ」
なるべくならそうならないで欲しいけれど、
世の中は
そう上手くはいかないことを、
嫌と言うほど知りすぎているつ
もりだった。
成る程そういうことも、あるかもしれない。
…ずっと後になってから結局、
私は優しい人を選んでしまった
のだと思い知ることになる。
…もう逃げられなくなった頃に…。
《なんちゃって。おわりっ!?》
*朱月様のところのBASARA創作明智夫婦です。
「書きたいなぁ」と言っていたところに
「ぜひっ!!」と言って、書いて頂いたものです(笑)
無理を言ってすみませんでした‥。
強く生きている煕子ちゃんが格好いいですねw
うちのは本能のまま生きているので、見習わせたい‥。
今回は本当にありがとうございました!!
載せる許可もしてくださり、ありがとうございます。
また、楽しみにしておりますw
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