最初の印象、というか‥最初思ったのは、‥妹。
自分より型の順から言えば姉である存在だが、
どうしても「兄上」と呼びながら兄の後ろを
ピョコピョコついて回る姿を見ると妹という認識になってしまう。
姉も彼女のことを妹のように可愛がっているから、
自分も同じように接しても構わないだろうと
そこに落ち着いた。
俺は、巡音ルカの派生であり、弟。
彼女は、神威がくっぽいどの派生であり、妹。
特になんという関係じゃない。
ただ、己の姉と兄が恋愛感情云々でドタバタしているのを
応援半分、心配半分で見ているという立ち位置であり、
お互いに「姉が世話になっています」
「兄が世話になっています」という程度。
そして、俺にとって彼女は妹みたいな存在で
彼女にとって俺はきっともう一人の兄みたいな存在。
それ以上でも、それ以下でもない、そんな関係。
彼女は俺の「妹」だった。
「あれ、がくこちゃん?」
「こんにちは、ルキ殿」
「今日は、がくぽとは一緒じゃないんだ?」
「兄上はルカ殿と出かけちゃいました」
「‥あぁ、そっか。そういや、姉貴、
プンプン怒っていたくせにいそいそ支度してたっけか」
「え?本当ですか?」
「うんうん。お洒落にも気合はいっていた気がする。心なしか」
こんな風に、己の姉と兄の話で盛り上がって
笑って、苦労を分かち合って‥そんな関係が好きだから
それを変えたいと思うことも、理由もないから
ずっとこのままでいいと思っていた。
「それは本当ですかッ」
「え?‥あぁ!
やっぱ、嬉しいんじゃないか?誘ってもらえるの」
クッと笑って言うと、彼女が珍しく
「良かった‥」
そう安堵したような笑みを見せた。
それが、‥あまりにも珍しくて‥
あまりにも可愛くて‥
――――あれ?
トクンッと何かが跳ねる様なそんな感覚。
でも、それは「気のせいかな?」程度のもので‥。
「どうされたのですか?」
「え‥い、いや!なんでもない。
それよりさ、今日はがくこちゃんは暇なのか?」
「はい。いちお、マスターが帰ってくるまでには
帰って夕食を作りますが、それまでは‥」
「じゃあ、そこに美味しいお茶の
お店できたらしいから一緒に行かないか?
こないだ、お茶は好きだって言っていたし、たまには‥さ」
「え?え?で、ですが‥私、今日はお金は」
「あぁ、それは、俺がおごるよ。
ただ、いつもこんな風に立ち話なのはなんだし‥
たまにゆっくり喋りたいと思ったから」
駄目かな?と尋ねれば、彼女は少し赤くなって
「それは、‥でーと‥ですか?」
と尋ねてきた。
―――え?‥あ、‥あれ?
今度は「気のせい」じゃない。
「気のせい」じゃ、片付かない。
「え、い、いや‥っ!
そ、そんなつもりはなかったんだけど‥」
まずい‥、なにを意識しているんだろう、俺‥。
彼女は、友達で妹で‥話し相手で‥。
「そ、そうですよね!
兄上が男性とお茶を飲みに行くのが
デートだと言っていたので、てっきり。
申し訳ありません、ルキ殿に不快な思いをさせました」
「べ、別にいいよ」
だって、不快じゃない。
不快じゃないどころか、これは‥。
「で‥、い、嫌かな?
別に嫌なら、俺も無理に誘うわけじゃないし‥」
「い、いえ!その‥、
少し入ってみたいと前々から思っておりましたので」
彼女はにっこりと俺に微笑んでハッキリと口にした。
「ご一緒できて、嬉しいです」
体温に異常有り。
心拍数に異常有り。
俺はさ、姉貴ほど器用じゃない。
恋愛云々で、アレコレ悩むなんて絶対にできない。
だから、あぁいうことは絶対したくないって思っていた。
したくないって。
―――なのに、これは‥。
「俺も‥、俺も一緒に行けて嬉しいよ」
これって、名前をつけたら「恋」だよな?
相手は、妹だと思っていた女の子。
姉貴の可愛がっている女の子で、
姉貴をしつこく追っている男の妹で、
‥普段は兄よりずっと凛々しい女の子なのに。
「じゃあ、行きましょうか、ルキ殿」
嬉しそうに言われて、つられて笑う。
「あぁ」
どうしようか。
これが「恋」なら、
俺はこの子をもう「妹」って見れないじゃん。
終
*がくルカが大好きなのですが、
性転換といいますか、
亜種の方もルキがくが好きです。
がくこちゃんは、すずきPの「乙女なのに
ものすごく強いがくこちゃん」が大好きなので
あのイメージなのです。
なので、恋愛をすると普段キリッと凛々しいのに
ワタワタしたりして可愛いんじゃないかなって。
ルキは、MEITO兄さんが大人なしっかりしたお兄さんで
ミクオがまだ少年っぽい成長途中だとしたら
その間だと思っております。
ルカちゃんは、クーデレだけど
ルキくんはなんていうか面倒見のいい男の子と言うか、
フレンドリーな男の子?
亜種はそこら辺も色々考えられるので楽しいですよね。
また、機会があったらこの二人も書き続けたいですv
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