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「なぁ、レン」
「なんですか、マスター」
頬杖をついて、篤時は楽譜を読んでいるレンを見る。
「なんで、丁寧語なんだ?」
「何か問題でもあります?」
楽譜から目を離し、レンが篤時を見る。
「別にねぇけどよ‥」
ねぇけど、なんか気が狂うと呟く。
「いつも通り話してくれねぇか?」
「‥‥」
レンはしばらく無表情で篤時を見ていたが、頷くと
「まぁ、誰もいないからこれでもいいか」
と呟く。
「は?」
「言ったのに、もう忘れたんだ」
呆れるレン。
「俺、大人になりたいんだって」
「分かってるさ」
だから、レンにとって大人の見本は篤時で
いつもこうやってくっついて回られているわけだ。
「けど、俺は別段丁寧語じゃねぇよ?」
「そういう意味じゃないんだって」
レンは楽譜を置くと、身を乗り出す。
「年上に敬語は当たり前だろ?
それに、師匠にはそうするのが弟子だってテレビでやってた」
「‥それで、丁寧語?」
「そう。せめて、こうやって仕事する時くらいは守ろうかと思って」
「あっそ‥」
ハァッと篤時がため息をつく。
「別にいいんじゃねぇの」
「?」
「レンはレンらしく振舞ってさ。俺は、いつものレンの方がらしくて好きだけど」
「それって、大人じゃない俺が好きってこと?」
「違う、違う!大人とか関係なくさ。
レンはレンじゃなきゃ、
俺の気分も変なんだよ。
自分らしさを無くしてまで、大人やっても仕方ないだろ?」
笑う篤時にレンが眉を寄せる。
「篤時の言うことって、大人だよな」
「は?」
「そういうの、さらっと言う」
「‥え?なにそれ?俺が説教くさいってこと?」
「んー‥そういうのじゃないよ。羨ましいってこと」
レンは頬杖をついて、篤時と同じポーズをとる。
「え?」
不意をつかれて、篤時が固まる。
「ほ、褒めてるんだ‥俺のこと」
「そうだよ。いやだった?」
大きな瞳に覗き込まれ、篤時は笑う。
「嫌じゃない!‥嬉しい」
「褒めた瞬間にそうやって図に乗るとこは、子供っぽい」
「いいじゃねぇか!誰だって褒められると嬉しいんだよ」
グシャグシャと頭を撫でられて、レンが呆れる。
「まぁ、篤時が言うなら止める。けど、他人がいるとこぐらいはいいだろ?」
「え?‥なんでだ?」
「別に理由なんてないよ」
本当はあるけど‥とレンは内心思う。
篤時と同じ目線になれる気がするからとは口に出さない。
頬杖をついたまま、目の前の人を見つめる。
まだまだ、彼には追いつきそうもないな。
レンは撫でられながら、ため息をついた。
終
*また色々あってレンと篤時で書いちゃいました。
レンのキャラが掴める話を実は大きいの考えていたのですが、
それは長くなりそうだったので。
自転車で飛ばしていたときに思いついたのを先に書いてみました。
カイトに対する篤時はからかってはいるけど大人同士って感じ。
レンとはお兄さんと弟‥みたいな。
男女CPが一番書いていて楽しいけど、こんな風に男の子同士が
恋愛話したり、悩み事話す話は書いていて楽しいです。
ボカロは大家族だから、楽しいんですよね?
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