※最初に>この話は『どうしようか‥』と同じ落ちです。
二つ書いてどちらがいいのか悩んで、
結局のせたものなので前の話が苦手だった等ありましたら
避けてください。
「もう、のめませ〜ん」
「もう飲まなくて良いって」
ぐったりとしているハクを背負って、アカイトは帰り道を歩く。
すっかり夜中になってしまった。
それもこれもメイコが極上の酒が入ったとかで、ハクを誘ったせいだ。
心配してついて来て、正解だったと内心アカイトはため息をつく。
ハクはお酒がダメなくせに、誘われるままに飲んでしまう。
最終的にいつも許容範囲を軽く超えてしまい、この状態。
無茶するなよと思うが、聞き入れてくれない。
”俺がお前のこと放っておいたら、どうすんだよ?”
そんな風に少し文句も言いたくなるほどの酔い方だ。
だが、そんな事はいえない。
第一に、惚れた弱みだ。
第二に、背中にあたるハクの胸のことを思うと役得だからだ。
”平常心、平常心‥”
思わず、唱えてしまう。
「あかいとさーん」
「ん?」
いきなり声をかけられて、アカイトは我に変える。
「な、なんだよ?」
「気持ち悪いです‥」
うぅっと辛そうに言うハクにアカイトは仕方ないなぁという顔で、ため息。
「分かった、分かった。
そこ、公園だからベンチにでも座ろうぜ。
水買ってきてやるからさ」
薄暗い公園の中。
ポツンとあるベンチにハクを座らせるとアカイトは自動販売機を探しに走った。
***
「ほら、水」
アカイトがペットボトルを渡すとハクは赤くなった顔で笑って
「ありがとうございます‥」
と受け取る。
それを見てから、アカイトは横に座った。
ハクがキャップを取って、飲もうとするが
酔いのせいか上手く飲めず水がこぼれる。
「お、オイオイっ!零れているっ」
慌てて、立ち上がってポケットからハンカチを探す。
だが、突然マフラーをグッと掴まれて前のめりになる。
「な、なんだよ?」
いきなり近くなったハクの顔にアカイトが動揺する。
「ねぇ‥、アカイトさん?」
「あ?」
「真っ赤ですよぉ?」
どうしてですかぁ〜?なんて艶っぽく言われて、一層アカイトの顔が赤くなる。
「は、ハクが近いからだって。‥離せよ」
身動きが出来ないため、アカイトはそう言う事しか出来ない。
水が零れたせいか、ハクの服が濡れている。
つい、胸元に眼が行ってしまってアカイトは視線を逸らした。
「アカイトさん‥」
「頼むから、離してくれよ、‥ハク」
何度も自分の名前を艶っぽく呼ぶハクにアカイトは参っていた。
このままじゃ、平常心どころか理性の問題だ。
”これだから、酔っ払いはっ”
と内心動揺するしかない。
ハクはアカイトが自分を好きだと知らないからいいが、
こちらにとっては大問題なのだ。
「え?」
そんな風に考えていると一層、ぐいっとマフラーを引かれる。
引かれて、ハクの唇がアカイトの頬に触れる。
「えへへ〜‥やさしいアカイトさん、だ〜いすきv」
これ以上ないくらいアカイトの顔が赤くなる。
心の中では絶えず
”酔っ払いの戯言じゃないかっ!!
ハクは別に俺が恋愛の方で「好き」なんじゃないぞっ”
と言い聞かせるが、身体が言うことを利かない。
半ば頭は真っ白。
「は、‥ハク」
「?」
「あ、あのさ‥俺」
”やめとけ、やめとけっ!!
嫌われたら、全部水泡に帰しちまうぜっ!?”
「ハクと‥もっと、」
アカイトの顔がハクに迫る。
ハクはキョトンとしたまま、動かない。
”頼むっ!!誰でも良いから、止めてくれっ!!!!”
アカイトの唇がハクのそれに重なろうとしていた。
そこに
「あ、‥いた」
「あーかーいーとーっ!!」
と、帯人の声とネルの怒鳴り声。
「トォッ!!!」
それと同時にネルのとび蹴りが華麗にアカイトへ直撃する。
「痛ぇなっ!!」
見事に吹っ飛んで、アカイトが怒鳴る。
「心配してきてみれば、なにやってるわけっ!!」
ネルが仁王立ちし、睨む。
「ハク、‥平気?」
帯人が上着を脱いで、ハクに着せてやる。
「あんたって男はっ!!
まさか、ここまで軽率だとは思わなかった。
人気のない公園でハク姉をどうするつもりだったわけぇ?
帰ったら、ただじゃ済まないんだからっ」
ネルの文句を不満顔で聞きながら、アカイトは横目でハクを見る。
お酒が完全に回ったのか、今は帯人の腕の中で眠っている。
”‥しなくてよかった”
そう思ったが、内心少しだけしてしまいたかった自分も居た。
あのまま、していたら‥どうなっていたのだろうか?
この関係を壊してしまうなら、やはりしなくて済んで良かったのだろうか。
「ちょっと、聞いてるわけ?」
ガスッと蹴られ、
「うっせぇな!!俺はただハクに絡まれただけだよっ」
と怒鳴り返す。
”そうだ、今はまだ‥この関係が変わってもいいだけの度胸が俺にはない”
今は、まだ。
「それよか、早くハクを連れて帰れよ。
風邪、引くだろうが」
そういうとアカイトはハクを少し見て、笑った。
終
*最初にも書きましたが、
このギリギリ、アカイトがハク姉さんとキスするかしないかのネタを書くために
これと前のを書き、どちらがいいか悩んだ末に両方のせました(汗)
妹と弟にも聞いたのですが、一致しなかったので‥。
同じ落ちなので、個人的には一つに絞りたかったのですが。
でも、アカイトの感じも違うし、
お酒に酔ったハクをおんぶさせるのもしたかったので両方‥。
良かったら、お好きなほうを教えてくださると嬉しいです。
赤いお兄さんの今後の動きが変わるかもです(え?)
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